おしゃれは足元からとよく言いますが、それは着物も同じです。男性が着物を着るとき、迷いがちなのが靴!
履物ひとつで良くも悪くもおしゃれ度がガラッと変わります。着物には靴ではなく履物を合わせるのが一般的ですが、最近ではスニーカーや革靴を合わせる上級者もいるようです。しかしよほどファッションに精通していないと着物と靴のコーディネートは難易度が高すぎるという意見も。
逆に草履なんかは持っていないからまあいいか、と言った感じでスニーカーを履いてしまうとせっかくの着物が台無しです。
やはり着物には履物の組み合わせがしっくりきますし、和装初心者でも履物であればおしゃれに着こなせるってわけです。私の意見としては男性の着物に靴は「なし」。まずは初心者にも合わせやすい履物といえば<下駄・草履・雪駄>。
どんなシーンにどれを履けば良いのか?そしてそれぞれの違いなどについてまとめました。
- 着物に合わせる基本の履物
- 男性着物の履物シーン別に適したもの
- 草履と雪駄の違いとは?
- 男性着物の格がアップする履き方
- 男性着物にブーツ=和モダンコーデ
まずは履物の基本3パターン、下駄・草履・雪駄についてです。
男性着物の履物は靴ではなく基本は下駄・草履・雪駄
男性の和装には3パターンの履物があります。それぞれ下駄・草履・雪駄(せった)です。これらの違いは素材や形状。まずはどう違うのか以下を参考にしてください。
<下駄>
- 素材:木製
- 底の形状:2本の突起がある
<草履>
- 素材:イグサ・藁・コルク・竹・合皮など
- 底の形状:平面 畳表
<雪駄(せった)>
- 素材:イグサ・藁・コルク・竹・合皮など
- 底の形状:平面 牛革+かかと部分に金具
雪駄は草履の一種ですが、草履との違いは畳表の草履の裏底に牛革が貼られ、かかと部分に金属が打ってあることです。
表地と裏地の間に一枚芯が入れてあるのも雪駄の特徴です。雪駄がなぜこのような仕様になっているのかは後述させていただきますので要チェックです。違いがわかって履きこなしているとこれまた男が上がりますよ。
次はシーン別の履物についてです!
[adsense]
男性着物でシーンごとに適した履物はどれ?
それぞれの履物の着用シーンですが、基本は
- 浴衣に合わせるのが下駄
- 着物に合わせるのが草履および雪駄
というようになります。カジュアルな場には下駄がちょうどよく、フォーマルな場には草履と雪駄が適していると覚えておきましょう。和装の履物には格式があり下駄が格下、草履が格上となっています。
場に応じて履物を変えるのはこのような理由からです。
ちなみに着物の世界では草履は女性が履くもの、雪駄は男性が履くものとされています。近年では女性用の雪駄も市場に出回っておりますが、これは着物の世界では正式な装いとはみなされていません。
そのため正装が求められる厳粛な場では男性は雪駄、女性は草履を着物に合わせるのが無難と言えますね。
カジュアルシーン:下駄
例:夏祭りや花火大会などレジャーを浴衣で楽しむとき
フォーマルーシーン:草履または雪駄
例:冠婚葬祭などの厳粛な場に着物で赴くとき、普段用としても◎
下駄はみなさんお馴染みの履物かと思いますが、草履と雪駄はどこがどう違うのかわからない方も多いことと思います。お次は草履と雪駄の違いを詳しくお話ししていきますね!
草履と雪駄の違いとは?
草履は名前からもわかるように、素材の多くは草でできていて特殊な加工はほとんどされていません。
そのためとても履き心地が良くて昔から多くの人に親しまれていました。しかし草履には機能性に難点があります。
それは冬場に雪の上を歩くと、水が染み込んで濡れてしまうことです。木製の下駄を履けば雪道でも水の侵入を許しませんが、底の突出した部分に雪が詰まって歩きづらくなってしまいます。
つまり和装の履物は雪道を歩くには適していなかったんですね。そうして考案された履物が雪駄です。草履の底を牛革にして防水加工を施したのです。つまり雪駄とは放水加工の施された草履だと言うことができます。
故に「草履」は広義の意味で「雪駄」は草履の小カテゴリとなります。草履は雪駄ではないが雪駄は草履と捉えても間違いではありません。いずれにしても両者の違いは防水加工の有無が最大のポイントのようですね。
ちなみに雪駄には牛革の底面かかと付近に鋲や後金と呼ばれる金具がついていて、歩いた時にカツカツと音が鳴るようなつくりになっています。この音は雪駄の「粋」とされています。
そして金具にも馬蹄やテクタという種類があり、雪駄のグレードによってかかとの金具も変わります。安価な雪駄には片足2個打ちが主流 ちょっと良いものになると3~4個に増えていきます。
着物をおしゃれに着こなしたいなら、雪駄の金具にこだわるのも通ですね。
着物姿が様になる履物の正しい履き方
男性着物に適した下駄や草履、雪駄はなどの履物は踵(かかと)を1センチくらいはみ出すのがかっこいい履き方です。購入するときは自分の足よりも少し小さめのサイズを選ぶようにしましょう。
小さめサイズを選ぶと小指が雪駄の外へと放り出されてしまいますが、それもまた正しい状態です。また冬場は足元が冷えるため足袋を着用するのもよし。防寒対策には靴下と足袋の重ね履きがおすすめです。
まずは5本指の靴下を履いてその上から足袋を履いてみてください。暖かさが段違いだと思いますよ。
鼻緒の形は太めの方が歩きやすいし足の甲を傷めないで済みます。足と鼻緒をギュウギュウに詰めてしまうと鼻緒ズレを起こしやすくなるため、足はあまり奥まで入れすぎずに鼻緒との間に少し隙間を空けるようにして歩きましょう。
でも、この鼻緒が苦手という人もいるのが現実。どうしても嫌なら、靴よりもブーツを合わせるのも手です!
着物にブーツで和モダンコーデの出来上がり
どうしても着物に靴を合わせたいのなら「着物×ブーツ」のコーディネートがしっくりきます。
寒い地域では成人式などで着物にブーツを着用することは多いですし、明治時代や大正時代には実際に和洋折衷文化として和装にブーツの服装が流っていた時期もあります。
明治維新の立役者である、かの有名な坂本龍馬も袴の下にブーツを履いていました。
ファッションは自由ですから
- 慣れない草履で歩き回るよりもブーツの方が活動しやすい
- 着物と履物の組み合わせ以外のコーデにも挑戦したい
そういった方は、着物にブーツを組み合わせてみるのも良いでしょう。
しかし伝統的な着物文化を重んじる人の中には「着物にブーツを合わせるなんて外道」という考え方の人も多いようですので、正装が求められるシーンでの着物の足元は、やはり履物にしておいた方がリスクは少なくて済みます。
カジュアルな場なら着物にブーツで和モダンに着こなすのも良し、フォーマルな場では伝統を重んじてちゃんとした履物をセレクトする。要は場の雰囲気に合わせたコーディネートが一番カッコいいわけですね。
まとめ
男性着物(和装)には下駄や草履、そして雪駄を合わせるのがスタンダード。靴に関しては、決してなしではないけれどコーディネートにかなりの自信がある以外ではやめておく方が無難です。どうしても鼻緒が苦手という場合や、おしゃれ上級者は着物にブーツの和モダンコーデにチャレンジしてみてくださいね。
着物の世界は奥が深いです。ひとえに下駄と言っても様々な種類がありますし、雪駄の金具ひとつとってもこだわり出したらきりがありません。
でも、着こなすにはある程度の知識と着付けの経験が必要になるからこそ面白いものでもあります。着物を完璧に着こなしてみたい!という場合は、ぜひ色々勉強してみてくださいね!
コメント